ピティナ・指導者ライセンス
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Vol.26 吉田祐子先生「諦めかけた音楽の道へ再挑戦」(2020年度全級合格)

合格体験記
vol.26
吉田祐子先生

岡山県岡山市/正会員/2020年度全級合格/指導者賞2回受賞

一度は諦めかけた音楽の道へ、我が子がきっかけで再挑戦

以前はヤマハ音楽教室で専門コースなどを担当し、ピティナのコンペティションにも生徒を出していました。3度の受験でヤマハピアノ演奏グレード2級に合格したものの、その後、自分の演奏力にも指導力にも限界を感じて悩んでいました。そして、3人目の子供が生まれたのを機に退職、思い切って音楽をすっぱり辞めてしまおうと決意しました。その後4人目も生まれ、以来、男の子2人、女の子2人の計4人の子育てに専念し、何年もピアノに殆ど触らない生活をしていました。

ところが、ふと我が子に連弾をさせてみたくなり、2013年に子供たちが連弾3組でコンペに初参加することになりました。すると私も弾きたくなってきて、翌年からは私も、子供たちと一緒に、ソロ、連弾でコンペやステップに参加するようになりました。

子供たちがコンペの全国大会に選ばれるようになり、2017年には連弾で銀賞を頂きましたが、まだまだ上があると感じました。ソロでは全国に行けても賞には届かず、他の参加者の演奏を聴いて、先生方の指導力に圧倒されました。そして、自分の指導力に足りないものがある事を痛感し、何か手掛かりが欲しいと思いました。そんな時、指導者ライセンスの事を知り、ここに私を成長させてくれる鍵があるのではと直感したので、2018年から受検に挑戦し始めました。

2019ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会にて
演奏実技と指導実技をオンラインで受検

初級の演奏実技と指導実技から受検を始めましたが、2020年春にコロナ禍に入った時点で、上級、中級の演奏実技、中級指導実技、中級エッセイが残っていました。「2020年度内に全級合格」という目標を一旦は諦めかけましたが、オンライン受検が始まり、救われる思いでした。上級演奏実技と、中級指導実技をオンラインで受検し、最後の中級演奏実技は、2020年12月に広島で開催して下さったので、ありがたく受けさせて頂き、全級合格となりました。

演奏実技は、全て暗譜でと決めていました。自由曲は、初級、中級、上級全体で、同じ作曲家が重ならないようにし、極力、今までに弾いたことのない曲を選ぶようにしたことで、レパートリーが広がり、さまざまな作曲家に、親しみを持てるようになりました。

受検にあたって、先生に師事はしませんでしたが、二度挑戦した上級演奏実技の本番前にはそれぞれステップに参加して、講評を参考にしました。二度目の受検前のステップでは、アドバイザーにライセンス全級合格された中村美穂先生がいらして、ライセンス受検のためのリハーサルと伝えた上で演奏した所、「私も受けました。大変ですよね。きっと大丈夫です!」と共感していただき、大変嬉しく励みになりました。

オンラインでの上級演奏実技は、4期の4曲+練習曲を通しで録画し、YouTubeにアップするという方式でしたが、ステージと同じで「一回しかない」と思って取り組みました。思ったよりも録画のための部屋と機材のセッティングに時間がかかり、演奏も長く集中力は一回分が精一杯でしたので、これは行った方が早いかなと感じました。中級指導実技では、普段なかなか直接お目にかかれない先生方にもオンラインで審査して頂けたのは貴重な経験でしたし、全国の受検生の先生方ともオンライン上で交流出来たのもよかったです。

演奏家の立場からのアナリーゼが作曲の参考に

筆記試験の対策としては、ホームページに載っていた過去問を全て解き、ピアノ曲事典を読み、eラーニングで対策講座を観ました。演奏家の立場から作品をアナリーゼすることによって、自分自身が作曲する時の参考になると感じました。私自身、4歳から通っていたヤマハ音楽教室で小さい頃から作曲してきたことや、小学2年生からの最初のピアノの先生が作曲専門の先生だったこと、ヤマハの講師として生徒に創作指導を行うなど、長く作曲へ親しみを持ってきたので、このアナリーゼの勉強が非常に役立ち、また作曲へのモチベーションが上がりました。

時間の使い方の重要さを感じる

受検を通して、特に重要に感じるようになったのは、「時間の使い方」です。指導実技を通しては、限られた時間内に、その生徒さんにとって最適な内容を最適な伝え方でレッスンする工夫を、常に考えるようになりました。

レッスン風景

一度目に実地で挑戦した上級演奏実技の時には、2週間前に同じ会場のステップで2回に分けてリハーサルをしたのですが、ライセンス当日は何度も止まって弾き直すという失敗をしてしまいました。それは、全曲通して弾き通す精神力を持続させるだけの余裕ができるほどには、弾きこめていなかったからだと反省しました。再挑戦したオンラインでの上級演奏実技の際には、時間の使い方を見直し、余裕ができるまでじっくり練習して臨みました。その後、日常生活での時間配分や、我が子との関わりの中での時間の使い方も、できるだけ能率よく動けるように心がけるようになりました。

失敗と努力があってこその「今」がある

指導実技では、毎回思い通りに行かず反省を繰り返していましたが、「今度はこうしよう」と心に決めて臨むと、裏目に出ることも多かったです。例えば、「褒めてあげよう」と思ってレッスンの最初にしっかり褒めたら、その後あまり私の話を聞いてくれなくなったケースもありました。講評でもその事を指摘され、やはり目の前の生徒さんをよく見て、その時の最善の方法を判断しなければならないとつくづく思いました。

講評に書いて頂いた改善点は限りなくあり、どこまでも良くしていくべき点は尽きないと気付きました。まさに私の知りたかった「自分の足りない点」を指摘して頂いて、本当にありがたく思いました。このように、思い通りに行かなかった経験をしたからこそ、日頃のレッスンでも、「最善の方法でできているか」と自分に厳しく問うようになり、自分にとって大きなプラスになっていると思います。

また、尊敬する大ベテランの先生方が、どれほどたくさんの勉強をしてこられたかを伺い、大変刺激を受けました。そういう先生方は「始めから『今の先生』だった」と勝手にイメージしていましたが、「努力をしてこられたからこそ」の今があることを知りました。私も勉強を続けていけばいつかそこにたどり着けるかもしれないと希望を持てました。

ライセンスの受検を通して、学び続けることの大切さと、具体的な「学び方」を知ることができ、合格して終わりではなく、もっと学び続けたいという気持ちが起こりました。

地元のコンクールの入賞者コンサートにて長男と連弾
今後の目標

最近、「新曲課題曲募集」に応募を始め、今年、作品を曲集に載せて頂きました。いつか、自分の作品がコンペティションの課題曲になる事が夢です。

子育てのため、回り道をしましたが、一旦辞めたつもりの音楽に、結局は子供がきっかけで戻ることになりました。性格の違う4人を育て、さまざまなステージに付き添った経験を活かし、保護者や生徒さんの気持ちに寄り添い、「この先生なら安心」と思って頂けるような指導者でありたいと思っています。

受検される方へのメッセージ

指導者ライセンスは、持っていなくてもお仕事はできますし、受検しなければ恥もかかないですみますし、楽です。でも、そこを乗り越えてこその価値は、きっとあると思います。


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