ピティナ・指導者ライセンス
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Vol.65 佐藤菜生子先生「自分自身が"学び続ける"存在へ」(2022年度全級合格)

合格体験記
vol.65
佐藤 菜生子先生

宮城県石巻市/正会員/2022年度全級合格

挑戦から得た指導者としての学び

ピティナ・ピアノ指導者ライセンス(以下、指導者ライセンス)を受検したきっかけは、「今の自分の指導を客観的に見直し、さらに成長していきたい」という気持ちからでした。生徒さんが笑顔でピアノと向き合える時間を大切にしながらも、「しっかりとした指導の軸」を持ち続けていたい。そのためにも、経験豊かな先生方から見た自分の指導を知り、レッスンを見直す場として、指導者ライセンスはぴったりだと感じていました。

なかなかのボリュームと年単位で合格を目指す指導者ライセンス。チャレンジする前には、「本当に全級合格まで辿り着けるだろうか。」と不安がありました。しかし、活動を共にさせて頂いているサンファン石巻ステーションの先生方の研鑽される姿に影響を受け、少しずつ気持ちが動き出しました。既に受検に取り組まれていた新堀慶子先生の存在は、とても大きな勇気となりました。さらに、日頃からお世話になっている阿部綾子先生からは、ライセンスが今後の指導にどれだけのメリットになるのかをアドバイス頂き、そっと背中を押していただきました。お二人の先生方との出会いは、私にとって指導力に磨きをかける第一歩となりました。

受検で芽生えた、さらなる向上心

最初に受検したのは、指導実技と演奏実技の初級。当時は地方での実施が少なく、東音ホールまで足を運びました。当日はとても緊張しましたが、「もうやるしかない」と覚悟を決めて臨んだことで、不安だった実技試験の全体像が見え、少し前に進めた手応えを感じました。また、ほかの受検者の演奏や指導を間近に見られたことは、予想以上に刺激的で、自分の中の課題や方向性が一気に明確になったのを覚えています。あの時の「もっとできるようになりたい」という気持ちが、今に繋がっています。

レッスン風景
全ては生徒さんに「伝える」という視点で

演奏実技では、各級ごとに「今の自分と真摯に向き合える曲」を選びました。テクニックや表現面での課題が浮き彫りになることもありましたが、その都度、納得いくまで練習を重ねました。指導者としての目線で楽曲を分析し、「この曲を生徒に教えるなら、何を伝えるか」という視点を常に持ち、演奏に反映させることを意識しました。

指導実技の準備では、日々のレッスンを振り返る良い機会にもなりました。生徒がつまずくポイント、自分の説明が曖昧になりやすい箇所、レッスンの時間配分…そういったひとつひとつを整理し、「言葉で的確に伝えること」に着目しながら指導実技の受検を重ねていきました。審査員の先生方からいただいた講評は、今でも大切に読み返し、自分の指導の軸を確かめる材料になっています。

いただいた採点票
「思わず耳を傾けたくなる」伝え方へ

全級合格後も研鑽を止めないきっかけとなったのが、ピティナのセミナーでした。中でも二本柳奈津子先生との出会いは、私の指導観に大きな影響を与えてくださいました。その後、オンラインでの勉強会「なつこ倶楽部」や指導者レッスンを通じて、教材研究や教室運営、コンクール関連など、多方面から学び続けています。月二回の倶楽部は、豊富なテーマで繰り広げられます。話の端々から先生の日々の姿勢や物事の考え方が伝わり、どのお話も心に響く私の大切な指針となっています。

また、私のレッスン動画を添削して頂いた際のこと。
「どんなにためになる話でも、話すスピードや声のトーン、間の取り方によっては、話の半分も伝わっていないことがある。」
そうアドバイスをいただいた時には本当に目から鱗でした。それまで私は、どこか生徒さんの様子を気にしすぎるあまり、明るさや楽しい雰囲気を守ることに意識が向いていました。しかし、話すスピードや声の強弱、間の取り方を少し工夫するだけで、「思わず耳を傾けたくなる」話し方に変えられることに気づきました。それ以来、肩の力を抜き、なるべく簡潔に、話の緩急を意識して伝えるようにしています。

先生の揺るがない信念、そして確かな洞察力と説得力が、素晴らしい生徒さんの育成につながっているのだと思います。明るく真摯なお人柄と、ぶれない姿勢に触れるたび、励まされ、熱い気持ちになります。

舞台へ挑戦し続けるからこそ、伝えられること

指導者ライセンス受検は、私の活動をさらに広げるきっかけにもなりました。その一つが、2025年度ピティナ・ピアノコンペティション グランミューズ部門への参加です。指導者ライセンスで身につけた「目標に向けた練習の進め方」や「本番に臨む心構え」を試したくなり、今年、思い切ってエントリー。自分自身が演奏者として研鑽を積むことは、とても大きな相乗効果がありました。

実際に舞台に立ち、挑戦するからこそ、生徒にも伝えられる言葉があります。演奏を通じて得た感覚や、本番での心の持ち方などは、指導に直結する学びでした。指導者ライセンス受検は「指導の勉強」であると同時に「自分自身の音楽と向き合う時間」でもあったのだと思います。

仕事と家庭の合間に、少しずつ練習を重ね、本選奨励賞を頂戴することができました。これまでの頑張りが形となり、次への励みになっています
出会いと学びを大切に

指導者ライセンスに取り組んでよかったことは、「学び続ける指導者でありたい」という気持ちを持ち続けられるようになったこと。そして、たくさんの先生方との出会いが私を大きく成長させてくれたこと。それが一番の財産です。指導者として、生徒と一緒に歩み続けるために、これからも出会いと学びを大切に、研鑽を積んでいきたいと思います。

これから受検を考えている皆さんへ

これから受検を考えている方へお伝えしたいのは、完璧に準備が整ってから挑戦しなくても大丈夫ということです。迷いや不安を抱えたままでも、一歩を踏み出すことで、必ず新しい景色が見えてくると感じています。
この経験が、自分自身の音楽や指導に実りをもたらしてくれることを願っています。ぜひ一歩を踏み出し、ご自身の世界を広げてみてください。

レッスン風景

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