Vol.64 荻野曜子先生「自分自身が"学び続ける"存在へ」(2022年度全級合格)
(埼玉県比企郡/指導会員/2022年度全級合格)

日頃から親しくしている先生が、指導者ライセンスの勉強をされている姿に触れ、「私も挑戦してみたい」という思いが芽生えたのがきっかけです。その先生の熱意や探求心に刺激を受け、 自分も指導者としての在り方を見直し、体系的に学び直したいと思い受検を決意いたしまし た。初級、中級と楽しみながら受検をしていたところ、親の介護や家庭の事情で家族への手助けが必要になってしまい、練習に充てる時間を作れなくなってしまいました。それでも「少し でも前に進みたい」との思いで、毎日わずかな時間ピアノに向かうように心がけました。日々の ささやかな努力が、確実に自分を支えてくれていたと感じています。
模擬レッスン形式の指導実技の試験に向けては、ただ弾けるだけではなく、「どう教えるか」「どう伝えるか」という観点での対策が求められました。自分のレッスンを録音、録画して、客観的に見直しました。
また指導の様子を先生にも見て頂きながら、多くのアドバイスをいただきました。はじめに良かった所を褒めること、生徒さんと一緒に歌ったり、手拍子など身体を使って拍感を身につけさせるなど、自分の指導の良い所を気づかされた一方、話し方や声のトーンなど、子供に寄り添う声掛けを意識して、内容が盛り沢山になりすぎず、一つ一つ丁寧に確認しながら進めること、曲の内容や背景に興味を持たせることなど、改善点も指摘していただきました。たとえば、風というイメージにふれた際、「どんな風(かぜ)か?」とイメージを膨らませながら、一緒に音を出して、音質や音色を研究するなどの実践的なことや、生徒さんとの目線の高さを配慮すると安心感を与えられることもご助言頂きました。
表現や伝え方について、客観的に気づくことができたのは大きな収穫でした。
試験の中で一番勉強になったのは指導実技でした。限られた時間で集中して伝え、生徒の課題 を見抜き、改善に導く必要があります。「何をどう伝えるか」を瞬時に整理する力が鍛えられました。
審査員の先生方から頂いたコメントでは、自分では気づきにくい癖や課題をご指摘いただき、今 後の指導改善にとても役立ちました。
そしてレッスン見学では、他の先生方のレッスンを拝見する事ができ、指導の多様性に多くの学びが得られ、自分のレッスンに取り入れたい点がいくつも見つかり、指導を省みる機会にもなりました。

ライセンス受検は、自分の指導を見つめ直す貴重な機会となりました。
「ゴール」ではなく、「通過点」。
単に試験を受ける事が目的ではなく、日々のレッスンをより良いものにしていくための「学び のきっかけ」だったと思います。この経験を生かし、自らも学び、アップデートし続ける必要が あると強く感じました。
試験を通して、これまでの指導経験が形になったと感じられたことで、音楽の道に進む生徒や、 コンクールに挑戦する生徒にも、自信を持って向き合う事が出来ました。
指導に関しては特に導入が大切と思い、熊谷支部の会員として、ミュージックキーの岩瀬洋子先生にご指導を頂きながら、導入指導のテキスト研究会を定期的に行っております。
そのお陰で子ども達の沢山の笑顔をいただきながら楽しくレッスンを進めております。

また地元小学校でのソロミニコンサートや、幼稚園、こども園での行事に参加させていただき、 有意義に演奏活動もしております。
また、ピティナ指導者ライセンス取得の他に、ヤマハエレクトーン指導グレード、ハンドベル指導認定講師、そして大正琴上級指導者認定の資格も取得し、発表会では幅広い年齢層でのアンサンブルを行なっております。
ピティナの指導者ライセンスでは、ピアノ教育に必要な指導力や演奏力を客観的に見直し、体系的に学び直せることが魅力でした。一方で、ヤマハのグレードでは、即興力やアレンジ力、幅広いスタイルへの対応力を問われます。
それらは、ピアノ指導の中でも柔軟な対応力として役立ちましたし、指導者ライセンスの受検のため磨いた分析力や指導法の知識は、エレクトーンのレッスンでも「なぜそうするのか」を伝える説得力となりました。
2つの試験を通して、今の自分に足りないものを多角的に学ぶことができました。
「いつか取れたら…」ではなく、「今、やってみよう」と思えたのは、自分の指導に対する責任感と、生徒にもっと良いレッスンを届けたいという思いがあったからです。

指導者ライセンスで全級合格をさせて頂けた事は、大きな自信となりました。同時に「ここからが本当のスタート」だという気持ちも強く抱いています。
「教える事は、学ぶ事」。
今後も「教える」ことを通して「学び続ける姿勢」を忘れずに、指導に向き合っていきたいと思います。

自分の指導を見直す良い機会になります 。
忙しい日々の中で練習と勉強時間を確保する事は大変かもしれませんが、受検を通して得られるものは大きいです。
最後になりましたが、ピティナ指導者ライセンス受検にあたりまして、熱心にご指導くださいました渡部由記子先生に、心より感謝申し上げます。的確であたたかいご指導があったからこそ、迷いなく学びを深めることができました。ご指導の一つひとつが、私にとって大きな学びと励みとなりました。
また、試験を通して私の取り組みを丁寧にご覧くださり、貴重な採点と講評をくださいました審査員の先生方のご助言は、今後の指導において大切な指針となりました。
先生方に、深く御礼申し上げます。