ピティナ・指導者ライセンス
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Vol.63 上野華純先生「コミュニケーションの質の変化がもたらしたもの」(2022年度全級合格)

合格体験記
vol.63
上野華純先生

宮城県仙台市/正会員/2022年度全級合格

自分の挑戦が、生徒にとっての楽しい刺激となり挑戦心に変わる

現在は演奏活動から教室業務に重きを置き、保育園ピアノ教室や自身が主宰するピアノ教室での指導と運営にあたっています。その傍ら、演奏動画をYouTubeに不定期でアップしています。

初めは、指導者ライセンスってどんな試験なのかな?ゆくゆく生徒がライセンスを受検したいと思った時のために経験しておこうと、居住地仙台にて開催されていた筆記試験を受けました。またその時期、肩や腰を壊してしまい演奏活動に制限がかかったことも受検理由の一つです。合格通知とともに赤いはんこが一つついていた表を見て、全部真っ赤にしたくて全級合格を目指しました(笑)。

受検の最中には、受検の内容や計画、勉強していることなど、受検に関する雑談を生徒さんにお話ししたら、思った以上に面白い反応が返ってきて、「自分の挑戦が生徒にとっての楽しい刺激となり挑戦心に変わるんだ!」と気づいたことは思わぬ嬉しいことで、モチベーションの一つになりました。自分の先生が今現在、どんな風に生きてピアノと関わっているのか、知ることが出来ると嬉しい様子でした。

師弟関係から、「研鑽を積むピアノ好き仲間」に

指導者ライセンスを受検したことで、教室の生徒や保護者の方々から、「先生になっているのにもっとやろう!とするのが凄い。自分もピアノの先生になって沢山ピアノを弾きたい。」等の励ましの声をいただきました。生徒とは、師弟関係としてだけではなく、「研鑽を積む仲間」としての絆ができたことがとても嬉しいです。「ここ難しいんだよー!」「ここの部分好きなんだ!」「この曲子供の頃に憧れてて、今も好きなんだー!」「ここ暗譜しにくい(笑)」などの話を積極的に生徒さんにしていたため、「頑張ってね!応援してる!」と生徒の方から寄り添ってくれ、合格の際には一緒に喜んでくれました。

全級合格に向けて勉強する姿と、YouTubeなどで発信している流行り曲の演奏をしている姿の両面を示せたおかげで、生徒たちの興味や意識、音楽との関わり方も変わりました。自分の目標や好きな曲などを自発的に求めるようになってくれて、ピアノ好き仲間としてとても嬉しいです。

YouTubeで演奏動画をアップ

「ピアノの先生になりたい!」「みんなの前でいろんな曲をたくさん弾きたい!」「この曲をみんなに聞かせてあげたい!」などの声も増えております。レッスンを通して夢や希望を与えられている様子を実感することは、講師冥利に尽きます。

全級合格後、ステップ参加者が2.5倍に

指導者ライセンス全級合格後、指導力を示しやすくなったことで、生徒数の増加や継続率の向上、生徒とのコミュニケーションも増え、音楽に関する事の他に、それぞれの趣味や生活についての会話も増えました。生徒の間で特にピティナ・ピアノステップが浸透し、合格前に比べステップ参加者が約2.5倍に増加しました。それぞれのペースで研鑽を積んでいます。

演奏する場や機会は色々なところにありますが、ステップについては文部科学省後援の生涯学習を応援するステージだということを認識してもらい、生徒の間にも、習ったことを形にしながらステップアップしたいという気持ちも芽生えています。

また、保護者のサポートや応援が欠かせないため、ピアノに慣れて発表会を経験したあとに、保護者様に提案・相談しながら目標を共有することも大切にしています。

発表会にて
コミュニケーションの質の変化~一人一人がピアノに求めるものを反映

ライセンス受検後の生徒の変化を見ると、レッスン内でのコミュニケーションの強化と、講師自身が演奏含めピアノを好きでい続けて励む姿を示していくことが、子どもたちにとって、とても重要なことだと改めて感じています。

生徒たちのレッスンの際も、「ここは難しいよね!大丈夫、上手くなってきてるよ!」などの声がけが、よりダイレクトに生徒の心に届くようになったと感じます。お互いが同じピアノというものを好きなんだ、という部分がはっきりと見えているのだと思います。

一人一人がピアノに求めるものが多種多様であることを、以前にも増して目の当たりにしているので、声がけや会話の質も変わりました。「ピアノを弾いている自分自身に何を求めているのか」、「この曲を弾くことでどんな自分になりたいのか」、演奏する本人の背景や意思を含めて、レッスンへ反映させたいと思いながらコミュニケーションをしています。シビアな場で演奏する場合も、楽しい場所で演奏する場合も、テクニックを入れることに変わりはありませんが、その子自身が目標や目的に向かうために、サポート面を重視した上でコミュニケーションを取るようになりました。

公立中学校にピアノ部の設立を~子どもたちの「好き」を継続させるために

子ども達とより密なコミュニケーションを取る中で、子ども達が抱えている悩みに対しても、ピアノの側面からできることがあるのではないかと思うようになりました。以前より生徒から上がっていた「公立中学校にピアノ部を設立してほしい。ピアノ部に入部したい。」という声を実現したく、「ピアノdeクラブチームプロジェクト(仮)」の発足を呼び掛けています。

中学生の時期には、自分の意思も明確になり、もっとピアノを楽しみたいと願う一方、受験勉強や部活動に物理的にも精神的にも費やすことになり悩んでいる子ども達が毎年多くいます。今までもピアノ教室としても、保護者の方々とともに継続に向けてサポートをしておりましたが、ピアノレッスンが個人の研鑽の域を出られない事で、内申のために妥協して学校の部活動に入部し、部活動と勉強に圧迫される子を多く見てきました。ご賛同いただいているピアノ講師の方々からも、本人の本心とは裏腹にピアノを諦めてしまう生徒さんがいること、そのためこの時期が継続率の低下するタイミングになってしまっていることも伺っております。学校の部活にピアノ部ができ、本人たちが望むように堂々とピアノに時間と気持ちを費やすことができたら、忙しい中学生生活の中でも輝く青春時代を過ごしていけると思います。

ピアノ学習者の中からプロになる人はほんのひと握りだと思いますが、仕事にするだけが全てでは無いので、胸を張って、「ピアノが好きだからピアノを弾いているんだ!」と本心と行動を一致させることができ、生涯学習としてピアノと共に歩み、自分で奏でることによって自身の心のメンテナンスも出来る大人に育って欲しいと思っています。

子どもたちだけで変えるのは難しくても、本人たちのピアノへの想いを大切にしたいと願う大人の手によって、きっと変えられるのではないかと思います。今の世の中で、好きなことにめぐりあえること、夢や希望を持てること、それを応援してくれる保護者や大人が周りにいることは大変貴重だと思うので、ぜひサポートの輪が広がってくれたらと願っています。多様性を尊重したピアノ教室運営を行い、生徒たちの「ピアノが好きだから継続したい」という気持ちを支え、地域のピアノ教育を盛り上げていくことが、今の私の目標です。

これから受検される方へのメッセージ

限られた時間の中で多くの研鑽を積み、スケジュールを調整して成果を出すことは大変なことではありますが、審査員の先生方やほかの受検者の方々から刺激をもらい、指導力を蓄えながら、ピアノ講師としてピアノの魅力や研鑽を積む姿を行動で示せることには価値があると思います。受検を通して、是非多くのピアノの魅力、ピアノ講師としての魅力を楽しみながら頑張って下さい。

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