Vol.59 中川和子先生「効果的な指導手法を探し実践する」(2022年度全級合格)
千葉県習志野市/正会員/2022年度全級合格
ピティナからの案内で指導者ライセンスというものがあることを知り、説明会へ参加しました。学生時代から、器楽や声楽の伴奏者として演奏活動を行ったり、ヤマハ音楽教室システム講師を務める上でグレードを取得してきましたが、それらの活動も随分と前のこととなり、近年では自分の演奏を評価していただく機会がなくなってきました。指導者ライセンスでは、そうした演奏の評価に加えて、ピアノ指導についても客観的評価をいただけるということを伺い、受験をしてみることとしました。
試験は日程を考慮して、できるものはまとめて受検をしたり、小論文は期間を決めて初級から上級までを同時に提出したりと、予定と目標を定めて集中して準備→受検、という形を取るようにしました。
また、eラーニングは試験準備のためのツールとしてとても役立ち、助かりました。加えてレッスン見学も、第一線でご活躍されている先生方のレッスンを拝見し、工夫していることや生徒さんに対する想いなどを伺うことができて、指導者として尊敬の念が深まりました。
受検を始めた頃にちょうどコロナ禍となってしまい、ステップ等に参加して本番の準備をすることができませんでしたが、その反面、オンライン試験が導入されたことで、動画を通しての自分の演奏を聴く回数が増え、振り返る良い機会となりました。
実際に受検をしてみますと、全ての試験項目が、自分に足りない所を教えてくれました。演奏も指導も、頭の中では分かっているつもりでも、自分がきちんと理解できていないことは人にも伝わらないということを改めて感じ、そのためには勉強し続けることが必要だと実感しました。客観的な判断は本当に大切だと思いました。各先生方は良い点も書いて下さるのですが、改善点は共通して同じような事を書いて下さっていたので、直すべきポイントがしっかりと見えてきました。
足りない部分はまだまだたくさんありますが、演奏や指導で高評価をいただいたり、筆記では全国1位をとることができたりと、自信にも繋がる部分もありました。また、当日一緒に受検をした先生方から、日々の指導のことなど、情報交換の場としてたくさんのお話を伺うことができ、とても有り難かったです。
受検した中で印象的だったのは、丸山京子先生の講評です。丸山先生には3回ほど講評をいただくことができましたが、採点表では、いくつかポイントを絞り具体的にアドバイスをすることや、指導の手法も細かく丁寧に書いてくださり、今でも時々見返しています。また、受検者全員に対する講評の際、演奏も指導も同じで、どちらもいつも本番のような気持ちと準備で臨むことが大切であり、それを忘れてはいけないということを仰っていました。とても印象深いお話しでしたし、その通りだと思いました。
受検後、音楽を更に深く学ぶという意味で、自分が師事しているレッスンでは、新曲に加え、以前演奏した曲をもう一度レッスンしていただくことで、以前は見えていなかったことを学び直しています。
またレッスンでは、指導に説得力を持たせるためにはまず自分がしっかりと理解すること、そして内容に加え、声のトーンや言い方など伝え方の工夫も意識するようになりました。指導実技のおかげで考え方そのものが変わり、限られた時間内でどう指導するかを考える癖がつき、より効果的な指導手法を探し、実践していく行動力が以前より増したと思います。
ステージに出演する生徒さんにも、緊張した時の対処やマナー、気をつけることなどを、以前より自信を持って具体的にアドバイスできるようになったのも、自らのライセンス受検が生かされていると感じています。
受検をして本当に良かったと思いますし、これで終わりではなくこれから学んだことを生かして行くべきスタートに立った気持ちです。毎回のレッスンを大切にし、生徒さんにとって充実したレッスンを行って行きたいと思っております。
現在、実家のある新潟と引っ越し先の千葉県の2カ所とオンラインでレッスンをしております。また最近は0才から3歳までの低年齢を対象とした遊びを通じて学ぶ「ずむずむ(R)」というレッスンを新たに始めるところです。質の高い音源に合わせ、手遊び、リズム遊び、歌とダンス、知育と読み聞かせなどを行います。先日初イベントを実施しましたが、子ども達も終始笑顔で集中力も高く、好評をいただきました。このようにこれからも新しいことに挑戦していきたいと思っています。
客観的に評価して頂くことで、自分では見えていなかったことが何なのかが分かります。また受検を通して生徒さんと同じ目線になることで、受ける側は何を思い、何を望んでいるのかを以前よりも理解できたように思えます。
目的はそれぞれかと思いますが、指導の大切さを知る良い機会であり、指導の幅も広がりますので、指導者ライセンスの受検はぜひお勧めいたします。