ピティナ・指導者ライセンス
X
youtube

みんなで作り上げる発表会(執筆:熊本由香)

指導のいろは
みんなで作り上げる発表会

執筆:熊本由香

発表会を開催しよう!と、思った時、生徒さんはどんな反応をしますか?保護者の皆様はどんな反応をしますか?イベント作りの中心は、生徒さんです。大好きな生徒さんのため、大好きな生徒さんの笑顔が見たいから。ただ、そのことを大切にいつも過ごしています。

1年のルーティンを日頃から把握しておく

まずは、あらかじめ、地区の行事を把握します。ここの学校は、毎年5月の第何週が運動会。ここの保育園は、12月の第何週がお遊戯会。中学生や高校生の定期テストのだいたいの日程とか。

そして、最近よく耳にするのが、学級閉鎖、学年閉鎖。今年は学校閉鎖まで耳にしました。当日は皆さんに笑顔で参加していただきたいので、感染症のできるだけ少ない時期に予定するのも大切だと考えています。

子供達が最優先の発表会。日時がきまれば、次は会場決め!

会場も、これまで750人収容ホール。コロナ禍では、密を避けながら、人数制限をせずに楽しんで頂きたい!との思いから、思い切って、1500人収容ホールで開催したり。アットホームな感じで100人程のホールで部を分けて、開催してみたり。

色々やってみました。

地方では、丁度良い、手頃なホールを見つけるのは至難の業(習い事の為移動距離が限られておりますので、遠い場所のホールがあっても移動が大変なようです)。どこをとっても、メリット、デメリットはありますが、とにかく、みんなの笑顔が見えるかどうかが、毎回の決め手となっております。

いよいよ選曲

選曲は、当教室では、「同じ曲が何人いても構わない」としています。

教室を始めた頃は、たくさんの曲に触れてほしい!という思いが強く、みんな違う曲での発表会をしていましたが、回を重ねるたびに、同じ曲でも、表現の仕方が違う。僕はこう弾くけど私はこう弾く。

それがまた、『同じ曲だけど、なんか違う!』というピアノを始めたばかりの子供達なりの、『表現の仕方を学ぶきっかけ』となるのも良いんじゃないかと思うようになりました(コンクールに参加する子供達ばかりではないので)。

「私はバッハのメヌエットを弾きたい!」「私はモーツァルトのトルコ行進曲を弾きたい!」「僕はベートーヴェンのトルコ行進曲を弾きたい!」という生徒さんが3.4人程いても良いなって思っています。

憧れの曲を練習すると、モチベーションはかなり上がりますし☆そしてもちろん、それぞれの一曲があり、その後ろには、必ずその生徒さんの頑張りだけでなく、ご家族の温かい支えと毎日の頑張り。一つ一つドラマがあります。そのドラマを聴かせていただけたらと思ってます。

ゲストについて

今年で20周年を迎える当教室は、これまでにたくさんのゲストに発表会に来ていただきました。目的は3つ。①良い音楽を聴く機会に②生徒のモチベーションUP③他ではできない「楽しい」体験のひとつに。

時には私の先生に来ていただき、演奏していただいたり、時には大学生の音楽家を目指している学生さん方に来ていただいたりしました(その後、皆様、1人もかけることなく、人気ドラマの劇伴作曲家をやられていたり、テレビやステージで音楽活動をされていたりと、大活躍です!)。

コロナで中止となりましたが、大人気YouTuberをお呼びしたり。そして、日頃からお世話になっております、ピアニストの先生方にも演奏していただいたり。

いうまでもなく、盛り上がりますね笑

身近で一流の音楽に触れる事、その空気を感じる事。その事がとても大切だと考えております。

当日のプログラム

プログラムには愛を込めて、学年順やあいうえお順に分けたプログラムを制作。しかし、当教室の当日の演奏順はくじ引きです。

あらかじめ、生徒さんの保護者の皆様に、第一部と、第二部、どちらに参加したいかだけうかがっておきます。それ以外は全て、当日のくじ引き。

私が子供の頃は、その学年の1番弾けてる生徒さんが最後に演奏するというのが決まっていました。毎年毎年、最後に演奏できるかどうかがかなりのプレッシャーで、プログラムをもらって、開くときにどれだけメンタルが崩壊しそうになったことか、、、。笑

そもそも、ご家族の皆様にとっては、我が子が1番です。当たり前です。どんな演奏を聞いても、我が子の演奏が1番に決まってます。

発表会は、誰のための発表会か。生徒の皆さん一人一人と、ご家族のものだと私は思っています。ですから、「平等」にくじ引きとさせていただいています。

高校生の後に、3歳さんが演奏するのもありですし、始めたばっかりの生徒さんの後に、ピアノを初めて10年の生徒さんが演奏するのも楽しいです。それもまた、楽しみの一つです。

くじ引きのときに、「えーーー!1番やーん!むりーーー!!」とか、「よっしゃー!サイコー!この番号!!!」という生徒さんの声を聞くのもまた楽しいです。

係り決め

当日の会場設営係から、受付、音響、司会、プレゼント渡す係、生徒さんたちを順番に連れてきてもらったりする誘導係、写真係、ビデオ係、後片付け係りなど、まだまだ、たくさん。

でも、大丈夫。ピアノ教室のお父様お母様。実はかなりの濃いキャラ揃い。「会場設営が得意です」「受付をやります」「音響、趣味です」「司会をやりたいです」「ビデオ録画、編集やります」

もう、ありがたすぎます。プレゼント渡したり、会場設営や後片付けなどは、中学生以上の生徒さんなら安心して任せられます。子供達もどんどん大きくなって、頼もしいです。

そして、自分達の発表会!!という意識をしっかり持ってくれて、発表会が文化祭のような感覚なのか、生徒さんの方から「来年も絶対に係りさせてください!」「手伝いも絶対にさせてください!」と言ってくれて本当にありがたいです。

さいごに

教室の初めの頃は、全部1人でやらなきゃ!と、目を回していましたが、20年経過した今は!こんなにもたくさんの支えてくださる温かすぎるスタッフの皆さんがいてくれている事に気づかされました。みんなで作り上げる発表会。今年も楽しみでたまりません!

弾けるとか弾けないよりも、音楽を感じる事が大切だと思っています。誰だって、練習を積み重ねれば音色の違いはあれど、音を並べることはできるはずです。しかし、音楽を感じるのは別の問題では無いでしょうか。

音楽を感じる体験を日々のレッスンの中で取り入れるように心がけています。常に、生徒さんの記憶に残る事をやる。そのことがきっと、生徒さんの心の中にずっと残るのだと信じています。

熊本由香
くまもと ゆか◎くらしき作陽音楽大学卒業。ヤマハ演奏グレード、指導グレード4級取得
中学校音楽教諭第1種免許。高等学校音楽教諭第1種免許。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)指導会員

指導のいろは
【広告】