ピティナ・指導者ライセンス
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『トークコンサート』で伝えたい!“フレンドリーなピアノの魅力”(執筆:石黒美有)

指導のいろは
『トークコンサート』で伝えたい!“フレンドリーなピアノの魅力”

執筆:石黒美有

ステップにお邪魔して何よりも幸せなことは、参加者の皆さんの演奏だけでなく、自然な表情を身近に感じられることです。皆さんの演奏に対してアドバイスを書かせていただくだけでなく、トークコンサートでの演奏とお話によって「お客様との心のキャッチボール」をできる感覚が、毎回この上ない幸せな瞬間なのです。

トークコンサートには、様々な年齢の方がいらっしゃいます。プレ導入で参加される可愛いお子ちゃまから部活とピアノを両立する中高生。応援に来られたお祖父様、お祖母様まで。

コンサートでお会いできたどんな年代の方にも「音楽ってこんなに面白い、楽しいものなんだ!」「フレンドリーで分かりやすいし、ピアノって魅力的!」と思っていただけるよう、トークコンサートのテーマは必ず地元ステーションの先生とご相談しながら進めています。

1.ピアノの音から作り出される、お客様の笑顔

ピアノからポロンとこぼれ出る音に対して、お客様の表情がコロコロと変わる度にどんどんと次のお話と演奏を続けたくなる自分がいます。トークコンサートの中で、くすっと笑えたり心が安らぐ瞬間をご提供できることが自分の中でのポリシーです。

音楽高校、大学と専門的に「演奏する」ことを学び続けてきた私がふと、「何のために練習をしているのだろう…」と、自分が音楽を学び続ける意義に疑問を持ったことがありました。イタリアでの留学時代、自分の人生に対する不安と葛藤の中で、現地開催のコンサートに来てくださるお客様と触れ合うたびに、お客様から頂く笑顔や拍手に勇気をいただき次のステップへと進めている自分に気が付きました。

聴いてくださる方々のために、作曲家からの音のメッセージを伝える「メッセンジャー」である私たちピアニスト。ピアノから紡がれる音楽によって、周りの方々が幸せな気分になっていただけるように心掛けています。

2.トークコンサート実施例

下記にこの2年ほどで開催しました、トークコンサートの「テーマ」をご紹介します♪

♪ 楽しい!伝わる!音楽でお話を伝えよう
W.A.モーツァルト「きらきら星変奏曲」
音楽の「形式」に注目しました。形式は聞き手のお客様にお伝えする、メッセージの書き方の方法だと思います。二部形式、三部形式、ロンド形式、ソナタ形式…など色んな形式がありますが、その中で「変奏曲」にスポットを当てました。形式をストーリー仕立てでお話ししながら演奏しました。
♪ ソロに活かそう!アンサンブルの力
ショパン:エチュードOp.25-1「エオリアン・ハープ」、エチュードOp.10-12「革命」
「アンサンブル」をすることで、こんなに魅力的・実用的にソロを演奏できるようになる!とお伝えするためのコンサート。「エオリアン・ハープ」で必要な多声部のバランスを聞く耳。「革命」に必要な転調の音色の変化を実演しながらお話していきます。
♪ ブルグミュラーを使って、ロマン派の歌い方を知ろう
ブルグミュラー:25の練習曲より「無邪気」「貴婦人の乗馬」/18の練習曲より「大雷雨」「ゴンドラの船頭歌」
ブルグミュラーを演奏すると、ロマン期特有の歌い方の基礎をしっかり学ぶことができます。音程の幅の持つテンション、調性の持つ色彩感、転調することによる演奏効果、非和声音の持つ味わい、終止形の違いによる印象変化、効果的なペダリング…etc. 憧れの曲たちから、素敵なロマン派の世界へご招待します。
♪バロック時代』を知ろう
J.S.バッハ:インヴェンション第1番、第5番、第8番、第9番、第13番
バロック時代の曲を演奏するときに知っておきたいトップ3「古楽器(オルガン、クラヴィチェンバロ)の音色はどんな音?」「バロック時代の楽譜どう読むの?」「どうやったら上手に練習できるの?」をテーマにしました。当日のステップで多くの参加者が演奏していた作品を取り上げ、テーマや対旋律の作り、曲ごとのスタイルや特徴をお話ししました。
♪ 課題曲&トークコンサート「四期でどう変わる?ピアノの音色」
W.A.モーツァルト:ソナタK570第1楽章/ドビュッシー:アラベスク第1番
時代ごとの鍵盤楽器に合わせた作曲法、歌い方や体の使い方を含めて実際に音を出しながらお話を進めます。コンペティションで使われやすい組み合わせ「バロック時代×近現代」「クラシック時代×ロマン派」の組み合わせでのコンサートが人気でした!
さいごに

次のトークコンサートは、博多南夏季ステップです。テーマは「ピアノトリオ(ピアノ+バイオリン+チェロ)」。音域や音色の違う他楽器との「楽器同士のお話し合い」が見えるようなトークコンサートにしたいと考えています。

普段はなかなか触れることができない、ピアノ以外の楽器の音色を聴くことにより、ピアノを弾くだけでは湧くことのない、子どもたちのためのインスピレーションや想像力、イノベーションの力になればと思っています。

そんなトークコンサートや日々のレッスンを通して「音楽・ピアノは生涯を通して心の拠り所」と思ってもらえるような「心に訴える指導者」になれたら幸せだなと思います。ピアノは「上手に弾ける人」のためだけの楽器ではなく、赤ちゃんから大人まで、誰もが触れれば音が出る素敵な楽器です。「簡単で楽しいな」と思える出会いから「継続できて上手くなっている実感がある」、そして「弾くのも聴くのも幸せ」と思える大人に、私と出会う誰もがなってくれたら嬉しいですね。人生のどんなタイミングで出会っても、ピアノと最高の友達になれる指導者になりたいなと思います。

石黒 美有
いしぐろ みゆ◎東京藝術大学器楽科ピアノ専攻卒、イタリア国立チェゼーナ音楽院第II課程首席卒業、名古屋音楽大学非常勤講師、かすみミュージックスクール講師

指導のいろは
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