Vol.56 青木麗子先生「ライセンス受検あってのグランミューズチャレンジ」(2022年度全級合格)
東京都町田市/正会員/2022年度全級合格
私が指導者ライセンスを知ったのは子育て真っ只中で子どもがとても小さい時期でした。当時のライセンスは最初に受けた時から7年以内に合格しないといけないという期限つきで、時間や環境の面から難しく断念したのを覚えています。それが子どもの中学受験が終わった頃にもう一度覗いてみると随分と受検しやすい環境になっており、それならばやってみようと思ったのがきっかけです。
筆記試験は主にeラーニングを使用しました。特に楽しかったのは秋山先生の筆記試験用の動画です。その動画が楽しすぎて、秋山先生の動画を片っ端から視聴したのを覚えています。とにかく話が分かりやすく曲分析の基礎が学べます。秋山先生の講座で学んでから、最初の楽譜の見方が随分と変わりました。以前まではとにかく弾いてみて考えていたのが、楽譜を見る時間を作るようになり、先生の話をもとに曲がどのように作られているのか考えるようにすると、曲の分析ができるようになりました。曲の分析ができると、どのように弾けばよいか分かってくるので、指導の内容が充実してきたと思います。
指導者ライセンスの科目の中で一番大変だったのは指導実技です。指導実技では短い時間の中で確実に生徒の演奏が変わるように指導します。自分自身も緊張している中、生徒さんが弾いている間に指導する箇所を考え、どう導くのかを決めて指導しないといけません。特に上級になると弾いたこともない曲もあり、指導曲が発表されてからの1週間は曲の分析と練習をひたすらやっていました。
大変ですが、短い時間で確実に生徒さんが変わるように指導することは、自身の普段のレッスンや、別のお教室から来られる生徒さんの体験レッスンに直結しています。講評用紙に書いていただいたことは、次回の試験では言われないようにしようと必死で準備しました。
指導者ライセンスで仲良くなった先生から、コンペのグランミューズ部門は1曲から参加できると聞いてコンペに参加してみたいと思い始めていたころ、ライセンス授賞式のあった指導セミナーで日比谷先生の公開レッスンを拝見しました。そのレッスンで日比谷先生のピアノの音色の美しさに感動し、さらに先生のご指導からその曲の在り方が理解できました。そんな素晴らしい先生にぜひ教えていただきたい!そう思いFacebookからのメッセージでレッスンをお願いしたのです。
グランミューズ部門のコンペにはラフマニノフを選曲しましたが、初回レッスンではラフマニノフの弾き方が全くできておらず、弾き方だけでレッスンが終わるという悲惨なものでした。そんな悲惨な状況下でも日比谷先生は丁寧に教えていただき、そのご指導のおかげでピアノ人生初の全国大会に出場し、2位という素晴らしい成績をいただくことができました。
日比谷先生にご指導いただき始めて、指導者の演奏力の大切さを痛感しました。なぜなら生徒は指導者の演奏を見て聴いて練習するからです。指導者ライセンスでも演奏実技の準備は大変で、上級になると準備する曲のボリュームが大きく、更に4期それぞれの時代に合った弾き方に苦労しました。しかし今後は時代ごとの弾き分けだけでなく、作曲家それぞれにふさわしい弾き方も学んでいかないといけないと思っています。まだまだ知らないことが多く、これからもたくさん学んでいきたいです。
指導者ライセンスの受検はピアノ指導に直結し、確実に自分自身のプラスになります。演奏実技、指導実技、筆記試験、エッセイに受検科目が分かれていることも納得がいきます。全てが指導に関連するのでどれも全力で挑んでいただきたいです。これから受検される皆さん頑張ってください。