ピティナ・指導者ライセンス
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Vol.51 森田康代先生「学んだことをアウトプットする」(2021年度全級合格)

合格体験記
vol.51
森田康代先生

兵庫県神戸市/正会員/2021年度全級合格

全国大会出場、その先どう指導したらよいのか

指導歴は長いのですが、10年前の引越しにより、神戸でまたゼロからのスタートとなりました。生徒集めのためにリトミックの認定教室の資格も取り、リトミックとピアノをあわせて指導を始めたところ、生徒に恵まれ、そのうちにコンペティションのA1級で全国大会に出ることにもなりました。「これから先、上の級をどう指導していったらよいのか」と悩んでいた頃、石井なをみ先生に出会い、「それなら指導者ライセンスを受けてみたら?私が教えてあげるから」と勧めていただきました。

学んだことをアウトプットすることの大切さ

それから月に一度くらいのペースで石井先生のところへ通い、初級から全て学び直しました。石井先生の指導は、楽譜を深く読み込み、テクニックにもこだわって、一曲にすごく時間をかけて教えてくださるので、「こんなにも深く学ぶのか」と驚きました。自分が経験したことで、今まで曖昧だったり、これでいいのかと悩みながら指導していたことに対してもしっかりと向き合って考える機会にもなりました。先生のもとで学んだことを生徒へのレッスンで実践し、時折生徒を石井先生に見てもらう機会も設けていただきました。レッスンで教えてもらい、その時は分かったつもりでも、実際に自分で実践できなければ意味がないので、インプットだけでなくすぐにアウトプットすることも大事にしてきました。

石井なをみ先生と

石井先生の尊敬するところは、私に言っていることも、セミナーで言っていることも、小さい子に対して言っていることも、全て一貫していて、指導に対する考えがブレないところです。指導実技では、短い時間で生徒さんを変えることが大事ですから、レッスンでは「今何ができていないのか」に集中して、現時点での直すべきポイントを見つけ、それに絞って指導していけるよう教えていただきました。

上級までの指導経験が少なく、どのように指導すればいいか定まっていなかったのですが、ライセンス受験で初級から中級、上級まで全て学び直すことで、「こういうことになるのか!」と初級から上級がつながってきました。「ここにつなげるために、初級ではこうしたらよいのか」などと考えて指導するようになりました。自分が目指すものは何か、そのためにどうすべきか、という道筋が見えてきて、教える時の自信にもつながりました。

自分で本番を経験する

演奏実技のためにステップにも参加しました。「指導者ライセンスを受検します」とコメントに書くと、この年齢で受けることに対しての応援のメッセージも書いてくださり、アドバイザーの先生方のやさしさが沁みました。演奏実技で用意したショパンバラード1番やシューマンアラベスクは、小論文の題材にした事もあり、又講評で頂いた問題点を理解するために、たくさんの文献や映画、動画を見て学びました。1曲を仕上げるためにここまで深く勉強した経験はありませんでした。

自分の発表会以外の本番で弾くのも久しぶりだったので、緊張してステージマナーを忘れたこともありました。生徒にはいつも言っていることでも、いざ自分が経験してみると気をつけようと思っていても飛んでしまう。今度からもっと生徒に優しくしてあげようとか、本番前にはどんな言葉をかけてあげたらよいだろうなどと考えられるようになりました。

演奏実技に向けステップで演奏
幼児教室で「幼児への接し方」、アナウンサーから「人への伝え方」を学ぶ

子どもへの接し方に関しては、幼児教室で4~5年間リトミックの授業を受け持ったことが、とても役に立ちました。教え始めた当初は、子どもたちがわめいてもどうしたらよいか分からなかったのですが、ベテランの保育士さんに「2歳児でもこちらが言う言葉は分かっているので、しっかりと目を見て、大人と同じように子どもと向き合うこと、こちらがひるまないことが大切」と教わり、小さい生徒さんに対してどのように声掛け、接し、導いていけば、こちらが思うように反応してくれるのか、学ぶ機会となりました。

発表会にて

指導者ライセンスでは、指導を見つめ直すにあたって、思っていることを人に伝えることの難しさを痛感しました。これは、個人的にレッスンしているだけだと、なかなか気づかないものです。いつもの生徒なのでそこまで危機感を感じることもなく「伝わっているはず」「分かってくれているはず」と思い込み、いつの間にか自分本位になってしまっているのです。指導実技では、自分のボキャブラリーのなさ、引き出しのなさを痛感し、「人に話して伝える方法」をもっと磨かなければ、と思うようになりました。

そこで、アナウンサーやボイストレーナーなど言葉を専門にする人の発信するYouTubeや本をたくさん見て学びました。話し方の講座では、テクニックとして、語尾を大切に、伝えたいポイントを山に、抜くところは抜くなど音の高低に幅を持たせる、文節の最後を丁寧に処理する、間の取り方、息の出し入れのコントロールなどが述べられていて、非常に音楽に共通しているなと感じました。でも何より伝えるには、一方的にならず相手の表情を読み取り、相手の話も聞くコミュニケーション能力と、自分が何を伝えたいかを知り、伝えたいという熱い思いが大切なのだと改めて感じました。この時学んだことは、ライセンス取得後のレッスンに生かせていると思います。

今後の目標とメッセージ

最初にリトミックから始めた子たち、A1級の時に全国大会に行った生徒も、もう中学生になります。受験で休んでいても、ピティナのコンペに出てきた子たちは戻ってきやすいようです。ある程度弾けるようになっていないと、弾けなくてつまらなくてやめてしまいますが、コンペで一通りのことが身についていると、弾けるのが楽しいからまたやりたくなり、それぞれのやりたいような形でピアノを再開するようになってきています。

今後の目標は、大きくなってきた生徒さんをいかに指導し続けていくか、マイペースでも勉強を続けていきたいと思っています。

ステップでの継続表彰

指導者ライセンスは、受けるのを躊躇する人も多いと思いますが、ご自身のためにぜひ勇気をもって挑戦していただきたいと思います。

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