ピティナ・指導者ライセンス
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Vol.44 天野敦子先生「相乗効果でグランミューズ入賞」(2021年度全級合格)

合格体験記
vol.44
天野敦子先生

東京都文京区/正会員/2021年度全級合格/第46回グランミューズ部門A2カテゴリー第2位

コロナ禍を学びの機会に

結婚を機に愛知県から上京し、ゼロからの再出発。子どもが小さかった間は、少人数の生徒さんを対象に教えてきました。下の子が小学校に上がり、教室を大きくして指導に力を入れていこう、と決意した矢先にコロナ禍になってしまいました。レッスンも演奏活動も自由にできなくなり、さあ困ったという時に、指導者ライセンスのお知らせを見かけました。こうして家にいる間に、自分の学びを止めずに指導力を上げる良い機会と思い、勉強を始めました。もしかしたらコロナがなかったら指導者ライセンスを受検していなかったかもしれません(笑)。

楽曲分析と指導実技の経験で日々のレッスンにも変化が

最初の1年は、どの先生にもつかずに、秋山徹也先生の筆記試験の対策講座やeラーニングのセミナーを活用して勉強しました。今まで特に楽曲分析に力を入れてきたことがなかったので、自分自身あまり身についておらず、生徒さんへのレッスンでも感覚的に教える部分が多かったのですが、秋山先生の講座を受けて「ああ、なるほど!」と衝撃を受けました。一番難しく感じていたバロックの指導も、しっかりと楽譜を読み込んでから、それに基づいてレッスンをすることで、説得力のあるレッスンができるようになってきたと感じています。特にコンクールの曲は何か月も取り組むため、より丁寧な楽曲分析が大切で、指導者ライセンスで得た知識が指導にも生かされ、生徒も賞をいただけるようになってきました。一番苦手だったエッセイでは、「バッハインヴェンションについての指導法」をテーマにまとめることで、より深く学ぶことができました。まだまだ勉強不足なので今も学び続けています。

ステップに初参加の生徒さん達と

初めて出会う生徒さんとの指導実技は緊張するけれど、一番好きな科目でした。今度出会う生徒さんは、どんな性格でどんな音楽を奏でるのだろうととても楽しみで、曲目が発表されるとすぐに楽譜を買いに行って準備しました。事前に自分で勉強して「たぶん生徒さんはここで苦労するだろうな」という予想を立てて向かったのですが、ある審査の時に審査員の先生に「それ、前もって考えていたね」と指摘されました。楽曲の研究よりも、生徒さんの演奏に集中することが最も大切なことだと気づきました。最初の頃の指導実技では、思っていたことの半分もやれないうちに時間終了となってしまいました。はじめに弾いてもらう時に、その子の一番良い所とその日のレッスンですぐに直した方が良いポイントを見つけ、それを決められた時間の中で指導することが難しかったです。日々のレッスンの中でも、「来週でもいいかな」ではなく、なるべくその時間でできるようにと意識するようになったのも、指導実技を受講したおかげです。

自宅のレッスン室にてレッスン中
上級演奏実技の準備と並行して受け始めたグランミューズ部門

初級、中級の演奏実技試験は自分で仕上げて受けました。上級は30分ほどのプログラムですし、どれくらい弾きこまないと合格しないのか不安だったので、審査員を務めているような先生に一度みていただきたいと思っていました。樋口紀美子先生は中級の演奏実技試験の時の審査員の一人で、一番点数が低かった先生でした。けれどコメントに、なるほど!と思うことが書いてありとても勉強になりました。そこで2021年の1月に指導実技の一環として公開レッスンを受けさせていただき、とても素晴らしい先生だと思いました。4月にリサイタルに伺って、アンコールで聴いたドビュッシーのアラベスクのあまりの美しさに涙がぽろぽろ出てしまって、私もこんな音色が出せるようになりたいと思い、ピティナの教室紹介からレッスンを申し込みました。

4月の後半からレッスンに伺って、5月にはグランミューズ部門のコンペティションに出ないかと誘っていただきました。上級演奏実技のために準備した曲の中から一曲選び、初めてグランミューズ部門に挑戦しました。そのコンペティションの後、9月の上級演奏実技試験に向け集中して準備をしました。オンラインの動画提出も検討しましたが、撮り直しがきく録画はきりがなく、完璧に弾くことを気にし過ぎて音楽がかたくなってしまうので、コンクールの練習のためにも一発勝負の実地受検をしました。

指導者ライセンス全級合格の表彰式で、金子勝子先生より賞状授与

2022年のグランミューズのコンペティションは2回目のチャレンジとなりました。昨年よりも先生のおっしゃることがより理解でき、取り込めるようになってきたと実感しています。今年はグランミューズのコンペのために先生と相談して選曲し、プーランクの中から数曲演奏しました。7分間という時間を最大限に生かして、自分の個性を出し、メリハリがあり、お客様を十分に魅了できる曲、という観点で選びました。去年、今年と予選から全国までたくさんの方の演奏を聴き、完成度だけではなく、選曲の難しさと大切さを感じました。また、色々な解釈の仕方、余裕たっぷりに見えた舞台の裏側の控室での緊張感、演奏会とコンクールの違い、そこで出会う仲間との切磋琢磨など、多くのことを経験することができました。そんな中、今年全国大会に行けただけでもとてもびっくりでしたが、全国大会でA2カテゴリー第2位をいただくという結果までいただきました。生徒さんの応援もあり、緊張に立ち向かって自分の今できる演奏ができたことを嬉しく思っています。

グランミューズ部門全国大会にて
ライセンスの効果はやる気がアップしたこと

指導者ライセンスを受け始めたことで一番よかったのは、指導に対しても演奏に対しても、自分のやる気がすごくアップしたことです。教室のブログを立ち上げ、ピティナの教室紹介やセミナーを活用するようになりました。今まで自分が習ったものしか分からなかった指導法も、ピティナに入って色々な指導の工夫や教材の使い方を知って、独りよがりにならないレッスンができるようになってきました。生徒さんの伸びも大きくなり、コンペに出て賞をもらう生徒さんが出てくると、他の子も自分もチャレンジしてみると言ってくれるようになりました。生徒さんのコンペへ向けてのレッスンをしながら、並行して自分もコンペ本番に向けて曲を仕上げていく、というのはとても大変でした。でも、私が頑張っている姿を見て、自分も先生みたいに頑張ると言ってくれたり、私も身をもって生徒さんの緊張感に共感し、説得力のある言葉がけができるようになったりと、相乗効果を感じました。

ピアノを通して自己肯定感を高め、目標に向かって頑張る力を

レッスンも素敵で演奏も素敵。両方素敵な先生になることが目標です。自分の演奏にあまり自信のなかった私に、自信をつけてくださった樋口先生のような、生徒さん一人一人の個性や良い所を見つけ、伸ばしてあげられる先生になりたいと思っています。

樋口紀美子先生と

この辺りでは小学校4年生ごろから受験の準備に入ることが多いので、4年生までに基礎を作り上げてある程度弾けるようにしてあげたいと思って指導しています。そうすることで、受験期間中はスローペースになったとしても、受験が終わり中学生になった頃にまた再開しやすくなります。

コンクールに出る子も出ない子も、生徒さんそれぞれが自分で目標を持ってくれて、それに向かってひたむきに頑張ることで上達し、それが自己肯定感につながる、そういうことを、ピアノを通して伝えられたらいいなと思っています。将来の人生であきらめずに目標に向かっていける力を、ピアノでつけてもらいたい。コンクールを受けてもらっているのにも、そういう側面があります。

これから受検される方へのメッセージ

大人になってから新たに学ぶ機会はなかなかないですが、勇気をもって一歩踏み出してみたら、一気に世界が広がります。この年齢でこんなに世界が広がるなんて思ってもみなかったので、指導者ライセンスを受検して本当によかったと思っています。皆さんにも、ぜひ一歩踏み出す勇気をもってもらえたらなと思います。

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