ピティナ・指導者ライセンス
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Vol.31 林恵美先生「自分を見つめ、掘り下げる機会に」(2020年度全級合格)

合格体験記
vol.31
林恵美先生

千葉県八千代市/指導会員/2020年度全級合格

「先が見えるレッスン」からの脱却を図って

自宅でのピアノレッスンのほか、千葉県内7つのコーラス団体で伴奏と指導を長年続けてきました。今振り返ってみると、ライセンスに出会うまでは、自分が小さい頃から教わってきたものをもとにレッスンをしているようなものでした。最新の事情も知らず、さらに小さい子のレッスンとなると自分の記憶もおぼろげでしたし、言わば生徒の「先が見えてしまう教え方」だったと思います。縁あって渡部由記子先生から指導者ライセンスというものがあることを教わり、2011年に初級実技を度胸試しに受けてみましたが、その後数年間は受検をお休みしてしまいました。

2018年に、所属している船橋支部でも指導者ライセンスをやるということを聞き、これはやらねばと思い、中級実技から再開しました。最初自分のやり方で受けたのですが、見事に落ちてしまいました。悔しくて「中級ぐらいは取りたい」とさすがに火がついて、いただいた講評の内容を熟読し、全て修正して再チャレンジしました。2回目は広島まで受けに行きました。自分の演奏のためにわざわざ遠方に出向き、立派なエリザベト音大のホールで弾けたことや、一緒に受けた先生とも意気投合したことも素敵な経験となりましたが、合格の知らせをいただいた時には、嬉しくて号泣してしまいました。

演奏実技も指導実技も、受検の時はその日の最初から行って他の方の見学をしました。他の方の実技を見ると、どのように見ている側に伝わっているのか、審査員はどのような反応をしているのかなどを客観的に見ることができ、非常に勉強になりました。審査員の先生方の講評は、書いていただいたものも当日のディスカッションも非常に参考になりました。私は初対面の人が苦手という面がありましたが、丸山京子先生に「うまく言葉で言い表せなかったら、先生の音で伝えてあげてちょうだい」と言われたことで、はっとしました。

2020年の春には上級実技のみを残している状態でした。コロナ禍に入りコーラスの仕事が全くなくなってしまいましたが、その分自分が弾く時間に充てることができ、自分で録画や録音をし、講評を参考にして臨みました。

コーラスの指導風景
「自分は何をやりたいのか」を掘り下げる機会に

指導者ライセンスでは試験科目がたくさんあり、スケジュール調整が大変でしたが、1つずつ判子が押されていく達成感は大きく、また時間のやり繰りも上手くなってきたと思います。

全級合格の授与式の時に専務理事が仰っていたように、全級合格を達成しておめでとうではなく、その後自分が何をどうやりたいのか、自分をもっと掘り下げる必要があると感じました。一時期は、上は限りなく素晴らしいことに感じ入り、色々な先生のセミナーをたくさん受けていましたが、コロナ前の忙しさも戻ってきて、自分が何をしたいのかが曖昧になってしまったと感じ、一旦インプットをやめて、「ピアノ指導者として、演奏者として、自分は何をやりたいのか」をもう一度見つめ直す期間を設けました。

その結果、オールマイティな人間などいないのだから、ピアノ教室でも自分ができることをはっきりと打ち出していこうとしたところ、ピアノの生徒がどんどん増えてくるようになりました。

指導者ライセンスの受検は、自分を見つめ直し、掘り下げる良いきっかけになったと思います。

レッスン風景

今ではまた、色々なセミナーで刺激をいただき、自分のアンテナを貼り、興味を深めています。自分は初級の指導が弱いと思い、レッスン見学ツアーに参加して以来、藤原亜津子先生に何かと機会をいただきご教示いただくようになりました。また、丸山京子先生のセミナーでは音程感の指導など、歌でも共通するものを多く吸収することができました。中村孝治先生の選択理論心理学で学んだ内容は、自宅レッスンにも取り入れています。

藤原亜津子先生と
自分からやりたいと思う子を育てる

ピアノ教室では、「生徒の心を動かさなければ生徒は動かない」と、ピアノ学習のメンタル面を大事にし、「自分からやりたいと思う子を育てたい」をモットーにレッスンをしています。

年度替わりには生徒に「自分の生活の中で何曜日の何時から何時はピアノに触れるか、自分で決めてね」と言って計画表を渡し、書かせています。今は、塾や他の習い事、ゲームなどの多くの誘惑に勝たなければなりません。親でも先生でも、他の人からやりなさいと言われたことは、長続きしません。週1回の私のレッスンの時だけでなく、おうちでも練習をしないと上手にならないことを伝え、自分でいつどれだけやるかを決めてもらうようにしています。

レッスン風景
これから受検される方へのメッセージ

指導者ライセンスに関わった10年間は、私の宝物です。もちろん、いいことばかりじゃなかったけれど、何があってもただでは起きないのが私です。親になるとチャレンジすることよりも守りに入ってしまうことが多くなりますが、こうやってチャレンジして苦労して得たことは、生きていく上でも大事なことだと思います。

音大を卒業された方には、ぜひ皆さん受けて欲しいと思います。誰でも得意不得意はありますし、初めから全級合格を目指さなくても、ちょっとでも興味を持った分野からやってみるといいと思います。絶対に何か自分に得るものがありますから、損はしません。そして、自分のやりたいことを見つめ、掘り下げる機会としていただけたらと思います。

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