ピティナ・指導者ライセンス
X
youtube

Vol.28 畠野葵先生「生徒たちと一緒に収録にも挑戦」(2020年度全級合格)

合格体験記
vol.28
畠野葵先生

千葉県市川市/正会員/2020年度全級合格/指導者賞1回受賞

ゼロからのスタート後、身近な先生方の姿に学ぶ

大学を卒業して2年ほど演奏活動をした後は、ピアノとは全く関係のない仕事に就職し、結婚、出産、育児と10年ほどブランクが空いた後、6年前にピアノ教室を始めました。そのため、教室を始めた時点ではほとんどピアノ指導経験はありませんでした。

まず、中学1年生から大学入学までお世話になっていた恩師・根津栄子先生が代表を務められる、ちば・市川バスティン研究会に所属させていただきました。とても熱心で優しい先生方が多く、ピアノ指導に関するたくさんのことを教えていただきました。

恩師・根津栄子先生と

同時にピティナにも入会しました。ゼロからのスタートなので、ピンと来たものは全てやってみよう!と思い、気になるセミナーや勉強会にはどんどん足を運び、学ばせていただきました。また、高校からの友人の新海未穂先生が指導者ライセンス全級合格し(2009年度)、活躍されているのを身近に見てきたので、私もやってみよう!と自然な流れでライセンスの受検を始めました。やるからには上級まで必ず取得するぞ!と心に誓いました。

指導実技の向上にはレッスン見学やコンクールを活用

指導実技に関しては、課題曲について、自分なりに勉強をし、直前に根津先生にもレッスンしていただきました。指導実技では初対面の生徒さんが相手で、しかも時間も限られています。特に年齢の小さい生徒さんの場合、慣れない雰囲気でガチガチに緊張していることもあります。根津先生は、曲について理解を深めておくことはもちろんだけれど、生徒さんの表情や姿勢なども観察し、まず心を通わせる事が大事だということを教えてくださいました。

レッスン風景

しかしながら経験も少ない私にはそれが難しく、生徒さん以上にガチガチに緊張し、モデル生徒さんに申し訳ないくらいでした。しかし、1回目より2回目、初級よりも中級と回を重ねる度に自分なりに落ち着いてきた実感があり、経験を積むということは本当に大事だなと感じました。

受検当日は、受検される他の先生方の指導を拝見出来るのもとても楽しみで、勉強になりました。それ以外の時でも、ピティナ主催のレッスン見学に参加したり、お友達の先生方とお互いのレッスンを見学し合う機会を作ったりもしました。

更に有難いことに、娘二人が二世代にわたり根津先生にご指導いただいているので、私にとっては毎回がレッスン見学のような貴重な時間です。子供にもわかりやすい伝え方、ステージマナー、指導者としての心意気などなど、書ききれないほど多くの事を学ばせていただいており、今の私があるのはピティナと根津先生のおかげと言っても過言ではありません。

また、とにかく多くの演奏を聴いて瞬時に「どこが素敵」「どこを直したらもっと良くなる」と判断出来るようになりたくて、コンクール会場に通っていた時期もありました。同じ級はなるべく全員聴いて、プログラムに感想を書き込み、自分ならと点数も書き、結果発表と照らし合わせることで、とても勉強になりました。

課題曲チャレンジの生徒達と共に演奏実技の収録に挑戦

演奏実技は、4つの項目の中では一番自信がありましたので、全て暗譜でやろう、演奏は上級まですぐに取ってしまおうと思っていました。しかし、初級のソナチネの演奏で数小節の間、頭が真っ白になってしまったのです。こんな経験は初めてでした。10年以上ブランクがあるのに、自分の力を過信していたのだと思います。それでも合格をいただけホッとすると共に、気を引き締め直す良い機会となりました。

有難い事に生徒も増え、コンクールに挑戦してくれる子も増え、一方で子育ても真っ只中、更には自分の演奏会もやりたい、と欲張っているうちに、上級演奏実技を残しコロナ禍となってしまいました。

演奏風景

オンラインでの演奏実技は、動画提出での試験となりましたが、これがまた大変でした。正直に申しまして、実地試験ならばこの辺りでカットかな、などと考えながら準備してしまっていたので、全て通して演奏せねばならなくなり体力勝負となりました。本番一発勝負なら諦めもつくけれど、動画は撮り直せる。だからこそ妥協したくない部分もあり、何度撮り直しをしたことでしょうか。しかも学校も休校になり、娘達が一日中家にいて、自分の練習時間や、撮影時間の確保も難しくなってしまいました。

ちょうど同じ頃、コンペも課題曲チャレンジになり、娘も生徒さん達も動画撮影に奮闘していました。私は、エチュードを含めて5曲目まで順調に撮影していたけれど最後の曲でミスしてしまい撮り直し…ということも何度もあり、悔しくてこっそり泣いた事もありました。だからこそ、生徒さん達が2曲通して集中して演奏する大変さも痛いほどよくわかり、「先生も頑張ってるよ〜!一緒に納得いく演奏を残そうね!」と心をひとつにする事が出来ました。

ドキドキしながら提出した動画の結果が届き、講評を読ませていただいたら、どの先生も裏までびっしりと的確なアドバイスを書いてくださり大変感激しました。合格出来たことも嬉しかったですが、何よりも、急遽動画提出になり自分との闘いに苦しみながらも撮影を重ねたことに対して寄り添ってくださるメッセージが温かく、報われた気持ちになりました。

受検とコロナ禍を通して得たもの

受検科目の4項目全てが、目の前の生徒さん達へのレッスンに直結しているので、やり甲斐がありました。自分が学べば学ぶほど、生徒の皆さんも信頼して付いてきてくれ、コンクールなどでも結果を残してくれるようになりました。9名が挑戦したブルグミュラーコンクールで7名が金賞、1名が銀賞をいただけた時、バッハコンクールで同じ部門に参加した2名がともに金賞、うち1人はベーレンライター賞までいただけた経験も、驚きが一番でしたが、生徒とともに成長させてもらえている喜びと感謝の気持ちを強くするきっかけにもなりました。

課題曲チャレンジ連弾に生徒と共に挑戦

昨年はコロナ禍でこれまでと違う苦労も多かったのですが、課題曲チャレンジになったからこそ出来ることをやろう!と思い、年齢制限がない課題曲チャレンジで、生徒さん達との連弾にも挑戦しました。コロナ禍ということで大ホールを貸し出してくれる会場があり、贅沢に2000人収容ホールで撮影をすることもできました。これはお互いにとても楽しくて良い経験になったので、今年も挑戦します。

また、コロナで学校が休校になる中でも、ピアノのレッスンだけはzoomなどを使って学びを止めずに行うことが出来ました。機械音痴な私が出来たのも、ピティナで知り合った先生方と情報交換させていただけたおかげです。また、少しでもみんなの心のケアも出来たらと、オンラインでソルフェージュのグループレッスンを行ったり、ほとんど消えてしまった夏休みに少しでも楽しめる機会をと、教室で「あおい祭」を開催したりもしました。私の教室は、ピアノの上達だけでなく、心の繋がりを大切に安心できる居場所のような存在でいられたらいいなと思っています。

オンライングループレッスン
あおい祭り
これからの目標

最近、新しい奏法を身につけて自分の演奏や指導の幅を広げたいと思い、ロシアンメソッドのレッスンを受け始めました。また、筆記試験受検を通して楽曲をアナリーゼする事の大切さと面白さに気付き、アナリーゼの継続セミナーも受講し始めました。一方で、これからも幼稚園や施設などで訪問コンサートを行ったり、デュオでの演奏会を企画したり、生徒さん達が心からピアノを好きになってくれるように、みんなの笑顔が増える楽しいイベントも考えていきたいし…と、やりたい事だらけです!

訪問コンサート

私は全級合格までに4年かかりましたが、挑戦するごとに自分が少しずつ成長している実感が、とにかく嬉しかったです。途中で心が折れかけた時もありましたが、恩師の根津先生をはじめ、受検で出逢った同志や研究会でご一緒させていただいている先生方、信頼を寄せてくださる生徒さん達、友人に家族、みんなに支え励ましてもらって全級合格することが出来ました。一人では成し得ることはできませんでした。まだまだ未熟な私ですが、感謝の気持ちと謙虚な気持ちを忘れずに、これからもみんなと一緒に成長していきたいと考えております。


インタビュー一覧へ

【広告】