ピティナ・指導者ライセンス
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Vol.18 佐藤和華先生インタビュー(2019年度全級合格)

合格体験記
vol.18
佐藤和華先生

北海道千歳市/正会員/2019年度全級合格

きっかけは地元のステーションとの出会い

ピアノ教室を始めて10年ほどが経ち、生徒もどんどん実力をつけてきた頃、「生徒だけでなく、自分も生徒と一緒にがんばる先生でいたい」という思いから、地元の千歳はすかっぷステーションの門をたたきました。セミナーや勉強会に参加し、代表の楠雅子先生の「子どもはみなダイヤモンドの原石で、指導一つでどれだけでも輝くもの。そしてそれは、誰でも発掘することができるはず。」という言葉に刺激を受けました。自分も子どもの力を発揮させられる人になりたい、と、そこで教えていただいた指導者ライセンスに挑戦することにしました。

しかし、北海道には指導者ライセンスの説明会も勉強会もなく、何が何だか分からなかったのですが、とりあえず1回受けてみれば何か分かるかもしれない、と初級の演奏実技と指導実技を受けてみました。一体どれくらい弾けたらよいのだろう?どういう方向性で弾いたらよいのだろう?など悩みながらでしたが、当日、他の受検者の皆さんの実技を見たり、審査員や他の先生方のお話を聞いて、どういうステップでライセンス受検を進めていけばよいのか、少しずつ見えてきました。そして、試験会場の真剣な雰囲気に、「本当にがんばらなきゃ!」と気を引き締めました。

自分の弱点と向き合う

北海道からの受検なので、試験を受ける度に飛行機や宿泊も必要になり、各地でのライセンス対策の説明会や勉強会、レッスン見学などをうらやましく思いつつ、一人で試行錯誤しながら受検対策をしました。

自分の弱点は「人への伝え方」と感じていたので、それまで10回20回と言わないと生徒に伝わらなかったことが、ライセンス受検を通してもっとうまく伝えられるようにしたい、というのを自分の課題として取り組みました。そこで、レッスンしているつもりで話をしてみて、それをビデオに撮って見返すということを繰り返しました。すると、話している時には自分では伝えている、相手は分かっていると思っていることでも、ビデオを客観的に見直してみると、一度に色々なことを言ってしまったり、まとまっていなかったりで、要点が分かりづらく、相手にはうまく伝わっていないことがよく分かりました。また、実際の生徒のレッスンの時には、最初の10分を指導実技だと思ってやるようにしていました。

レッスン風景

同時にeラーニングにも登録し、実際にはなかなか出かけられない様々なセミナーから学ぶことができました。レポートは特に苦手で、書いては主人に添削してもらい、書き直しを繰り返し、初回は出すまでに3か月ほどかかりました。

逆に、ピアノ指導と並行してリトミックの指導もしていたので、拍の取り方やニュアンスの表現の仕方など、ピアノを弾くだけではイメージが足りない所を、歩いたり具体的な物を使ったりということも活かせたことは強みだと感じました。

初めての試験会場でお友だちになった先生方と近況報告をして励まし合ったり、レッスン見学でお世話になった先生からの応援があったからこそ、がんばることができたと思います。

失敗経験が自分も生徒も成長させることに

指導者ライセンスの試験の中で、自分にとって一番学びが大きかったのは、中級演奏実技で落ちたことです。落ちるとは思っていなかったので、その後2週間は泣き続けました。毎日講評用紙を読み返すうちに、最初はただ悲しい気持ちだったのが、だんだんと、その内容に対して今後自分がどうしていけばいいのかとか、書いてくださった審査員の先生の気持ちなどを読み取ることができるようになりました。そして、上級に対してはとても前向きな気持ちで臨むことができました。このことが、自分の音楽と真摯に向き合い、見つめ直すきっかけとなりました。そこで落ちていなかったら、当時の演奏でいいと今でも思って弾いていたと思うので、そのおかげで自分自身が変わることができたと、その時の審査員の先生には心から感謝をしています。

コンサートでの演奏風景

それまで大きな失敗や挫折というものをほとんど経験せずに過ごしてきたので、自分自身が失敗した経験、とても厳しい講評をいただいた経験をしたことで、子どもたちがコンクールで講評をいただいた時の受け止め方、子どもや保護者への対応の仕方にも違いが出てきたと思います。

最近、それが子どもたちにも伝わっているなと思う出来事がありました。ある保護者の方から「先生の所で、ピアノやリトミックをやっていてよかった、と心から思いました」と感謝の言葉をかけられたのです。話を聞くと、お子さんが、同じようにピアノや勉強でがんばっているお友だちがうまくいかずに落ち込んでいた時に、こういう経験をしたからこそ今度はきっとうまくできるよと、一生懸命に励ましていたというのです。また他のお子さんは、自信を持っていたコンクールで落ちてしまって号泣していた所、お教室の年上の生徒さんが「がんばったね」と声をかけに来てくれ、その一言がとても嬉しくて立ち直ることができ、次もがんばろうと思えたそうです。

こうした話を聞いて、「ピアノ教室をやっているということは、こういうことなのだ」とはっとしました。ピアノがうまく弾けることだけじゃなくて、失敗や困難を乗り越える力を持ち、人の痛みも分かってその力を他の人のためにも発揮してあげられる。ピアノを通してこういう人間に成長するのだということを実感しました。こうした、生徒を全体として育ててあげられる先生でありたいな、と改めて思いました。

お教室では夏祭りなどのイベントもたくさん
レッスンで変えた2つのこと

ライセンス受検前後の自分のレッスンを振り返ると、生徒の理解度が格段にあがったことを感じます。以前は同じことを何度言ってもなかなか伝わらなかったのが、今では、「こうしたいけれど、ここの所がうまくいかない」などと、直さないといけない所を自分で見つけられる生徒が増えてきたのです。指導者のやり方次第で、こんなにも生徒は変わるのだと驚きました。

私が変えたことは、1つは「レッスンでの重点の置き方」、もう1つは「伝え方」です。以前は、楽譜を少しずつ進めていって、何か課題が出てきた時にそれを学習する、というようなレッスンスタイルでした。でもそれでは、私の中では前提として持っている曲全体の中での意味付けというものが、生徒と共有できていなかったために、生徒にうまく伝わらなかったのです。そこで今は、最初に楽譜全体を読み取ることから始め、曲に対するイメージ作りや、楽譜をよく読んで分からない所や課題を見つけることなどに、より力を注ぐようにしています。

「伝え方」に関しては、審査員の先生から、何となく「こうだ」というのではなく具体的に示すこと、小さな子どもだから分からないと思わずに伝える努力をすること、言葉だけでなく、実際に弾いてみて音の違いを聴かせるなど、耳もよく使って伝える工夫をすることなどをお話いただきました。今は、要点を絞って話すこと、そして指示は細かく具体的にすることを特に意識して実践しています。来週やってくる課題についても、流れの中で話して「わかったね」と言って終わらせるのではなく、ノートにも保護者が見ても分かるように、何小節目の何の音をどうするために、どういう練習をしてくるのかを具体的に書き、それを生徒と一緒に読みながら確認するというように、生徒が分かっているかを丁寧に確認するようにしています。

バッハコンクールでダブル金賞を受賞
ここからがスタート!

指導者ライセンスを全級合格した時、「ここからがスタートだ!」と思いました。そして私の信条は「生徒と一緒に」です。いつまでも、生徒と一緒にがんばり続ける先生でいたいと思っています。その姿を生徒に見せることで、ピアノだけでなく、学校生活も、他の習い事も、勉強も、全てひっくるめて、生徒を人間として成長させてあげられる先生になりたいです。そして自分の教室の生徒だけでなく、地元の子どもたちのことも、そうして育てていける人になれたらと思っています。

受験を考えている方へのメッセージ

「指導者ライセンスを受けてみようかな」と思っている先生は、既に、行動を起こせる先生なのだと思います。ですから、まず、受けてみてください。受けてみないと分からないこと、体験して初めて分かることがたくさんあります。指導者ライセンスは、その過程で他の仲間の先生方や審査員の先生方から学ぶことがとても多いので、失敗や恥ずかしさを恐れずにがんばれば、それが今後の自分の強みとなる、と信じています。

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