ピティナ・指導者ライセンス
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Vol.12 古川恵美先生「受験半ばでの転居もよい経験に」(2018年度全級合格)

合格体験記
vol.12
古川恵美先生

長野県諏訪郡/指導会員/2018年度全級合格

思い切って参加したアンサンブルパークがきっかけで広がった活動

子育てが少し落ち着いた頃、ピアノ指導者としてもっと成長したい、もしかしたら人生半分過ぎているかもしれないと焦りを感じ、積極的に勉強してみようと思い立ちました。思い切って参加したのが、2015年2月のピティナ会員研修交流会アンサンブルパーク。様々なセミナーや多くの先生方との出会いを通して、これまで何もしてこなかったことが悔しくてたまりませんでした。

落ち込んでいた私に、グループディスカッションでお会いした、とちぎ蔵の街ステーション代表の佐藤昌代先生は貴重な指導のお話から女性の生き方に関わるお話までしてくださり、とても勇気付けられ、今でも心の支えになっています。その時のアドバイスをもとに、生徒をステップ見学に連れて行き、ステップ参加、翌年にはコンペティション参加へと導くことができました。

アンサンブルパークにて

またアンサンブルパークでは当時比較的近かった八王子支部を紹介していただき、コンペティションやステップのスタッフなど支部での活動にも加わることができるようになりました。

八王子支部の皆さんと

そのような中でグランミューズのコンペティションに興味を持ち、試しに参加してみましたが、当時はレッスンにも通っておらず予選も通過できませんでした。しかしそこで聴いた同年代の方々の演奏は素晴らしく、いつか私も入賞できるような演奏がしたいと強く憧れるようになりました。そして、入賞者の中には指導者ライセンス全級合格者の方々も多くいらっしゃることを知り、ライセンス受検に興味を持ったのです。道のりは遠く感じましたが、全ての内容が生徒のレッスンに直接つながる勉強になる、何事も挑戦だ、と前向きに考え受検することにしました。

樋口紀美子先生との出会い
樋口紀美子先生と

初級中級の演奏実技の受検と平行して、上級受検に向けてレッスンしてくださる先生を探しました。インターネットで気になる先生がいらしたら、セミナーに参加したり、アドバイザーをされているステップを受けてみたり、レッスン見学に行ってみたり…。そんな中、樋口紀美子先生のレッスン見学に参加して、非常に音楽的に深く豊かで生徒の立場に立ったわかりやすいレッスンと、先生の飾らないお人柄に惹かれて、ご指導をお願いしました。

上級演奏実技は、ライセンス受検を始めた頃には不可能に思えた5曲30分の課題曲。樋口先生と一緒に選曲し、レッスンしていただき、何とか形にして、2017年2月に受検まで漕ぎ着けましたが結果は不合格。まだまだ練習が足らず、自分が甘かったのだと思います。

ライセンス受検半ばでの転居

さてここで、さらに練習して次回受検と思うところですが、翌月末には、首都圏の西端、山梨県上野原市から八ヶ岳の麓、長野県諏訪郡原村への移住を控えていました。しかもピアノの置けない仮住まいで1年余り生活することになり、ライセンス受検は一時お休みしました。

2018年5月、ようやくピアノが置ける家に引越し、樋口先生のレッスンも再開して、10月に2回目の挑戦で上級演奏実技に合格することができました。ピアノが弾けない環境での生活にはもちろん不安や焦りもありました。でもその一年間は、新天地を満喫するとともに、自分は音楽やピアノが大好きなのだと再認識し、家族の生活や自分の人生にとって豊かな時間でもありました。その経験は、指導者としての幅広さや深さ、演奏する音楽にも反映されると信じています。

エッセイを通じて書くことの大切さや効果に気づく

中級のエッセイではバッハのインヴェンションについて書きました。ピアノ学習者なら誰もが学ぶけれど、その演奏法や指導法には戸惑いも多い作品。そんなバッハの魅力に気づかせてくださったのが、樋口紀美子先生のレッスンとセミナーでした。この頃は、樋口先生が代表をされている南麻布インターナショナルステーションのブログやセミナー実施レポートも書かせていただき、より深くバッハについて学ぶことができました。

書くという行為は時間もかかり大変ですが、自分の考えを整理し定着させるためにはとても役立ちます。学校を卒業するとまとまった文章を書く機会は少なくなりますが、ライセンス受検でエッセイの課題が与えられたことで、書くことの大切さや効果に改めて気づくことができました。

指導実技で出会った「命懸けのレッスン」という言葉

指導者ライセンスの受検科目の中で最も緊張して臨んだのは、やはり指導実技です。大勢の人の前でレッスンをして評価を受けるというのは、これまで全く経験したことのないものでした。

緊張と手探りで受検した初級指導実技。試験後のディスカッションで審査員の根津栄子先生が話された「命懸けのレッスン」という言葉に、ハッとしました。お話を伺ううちに「今、目の前にいる生徒を上達させることに自分の全精力を注ぐ」という指導者として当たり前のことに改めて気づかされました。その後の中級上級指導実技では、その言葉を常に心におき、自分の緊張よりも、目の前の生徒を上達させることに集中してレッスンすることができました。そしてそれは、自分の生徒とのレッスンでも一瞬一瞬を大切に集中してレッスンする姿勢につながりました。

また普段は機会の少ない中級上級者の指導についても、審査員の先生方からのアドバイスで自信が持てるようになりました。レッスンする曲を分析し、自分で弾いてみることはもちろん大切ですが、日頃からコンペティションやステップなどで色々な人の演奏を聴くこともとても勉強になります。常にその演奏の素晴らしいところと改善が必要な課題を考えながら聴くことは、中級上級者の指導に役立つと感じました。

今後の夢

引越しとライセンス全級合格を経て、やっと再挑戦できた今年のコンペグランミューズA2カテゴリーでは本選優秀賞をいただくことができました。月1~2回の樋口先生のレッスンは、私の心にグッと入ってきて変革を促される時間です。まず音楽が先にあること、生徒が幸せになるレッスンをすることなど、樋口先生の豊富なご経験から語られる貴重なお話は、私の演奏はもちろん、生徒への指導にも直接生かせるものです。

私は新しい土地で教室を開いてまだ日が浅いのですが、生徒と一緒に音楽を楽しみ、私自身もさらに勉強を続け、生徒とともに成長していきたいと思っています。この八ヶ岳の自然の中で様々なことを感じ、音楽を通じて皆様の役に立ち、地域のピアノ学習者や指導者、音楽愛好者の輪を広げていくことが夢です。

これから受験される方へのメッセージ

私は本当にゼロからのスタートでした。でも、思い切って小さな一歩を踏み出したことで、色々なご縁がつながり、ライセンス全級合格までたどり着くことができました。たくさんの科目を受検する中で審査員の先生や他の受検者の方々にお会いし、様々な学びを得て自分が成長し、合格できたのだと実感しています。指導者ライセンスは、そのような学びのプロセスを与えてくれる素晴らしいシステムです。ぜひ多くのピアノ指導者の方々に受検していただきたいと思います。

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