2019年度春期 コンペ筆記試験問題公開
2019年4月29日、5月14日、5月17日実施
演奏を聴き、演奏全体の問題点3点を指摘し、どのように誤っているか記述してください。演奏は2度流します。
なお、同一小節内で同じ音の間違いがある場合、それは「1箇所」とみなします。アーティキュレーションは楽譜冊子に掲載されている内容に準拠するものとします。
- 楽譜省略
解答
- 全体を通して、フレーズ感のない棒のような演奏である。
- 9小節目から15小節目にかけて、左手が1オクターヴ上がっている。
- 11小節目左手4拍目 Cis音がC音になっている。
次に流す演奏には、明らかな音の間違いが3箇所あります。それぞれの間違いについて、小節数、右手・左手(声部)等を明確にした上で、指摘してください。演奏は2度流します。
なお、1番括弧は省略して演奏し、2番括弧へ飛びます。
同一小節内で同じ音の間違いがある場合、それは「1箇所」とみなします。アーティキュレーションは楽譜冊子に掲載されている内容に準拠するものとします。
- 楽譜省略
解答
- 22小節目左手 2拍目
正しい音:Cis→間違い:C - 24小節目左手 1,2拍目
正しい音:H→間違い:B - 29小節目左手 2拍目
正しい音:一点イ音→間違い:イ音
この曲は1~4小節の音楽が基本となっています。そのうち1~3小節目をA、4小節目をAXとすると、以下の構成となっています。(数字は小節番号を表しています。)
- a. 上声を主題として考え表に出しつつも、下声と極端な音量差はつけすぎずに両者一体となって表現する
- b. 上声を主題と考えて、下声よりかなり強く表に出るように表現する
また、2小節目は、最初のバス音を除けば(②
- a. 1小節目の音形が2度上にズレた反復進行(ゼクエンツ) の形
- b. 1小節目の音形が上下転回した形
1~3小節の音楽 A は、5~7小節、9~11小節、12~14小節、17~19小節、29~31小節で、上声と下声を入れ替えたり、形を変えて繰り返すような進行が軸となっています。29~31小節では音形が多少変化しています。なお、4小節、8小節、32小節は、これらの動きのつなぎ部分と考えることも可能です。
曲頭3小節の表現を基本に、上声・下声のバランス交替に注意し、当該調の色彩感を加えた演奏を考えるとよいでしょう。
★1~3小節の音楽の上声(赤い四角で囲んだ部分)は、主題と考えられます。この主題は、次で示す箇所のそれぞれ上声・下声のいずれにあるかを答えてください。またそれぞれの部分は何調かを答えてください。
- 上声
- 下声
この部分は、(④ 調)です。
- 上声
- 下声
(⑥ 調)から(⑦ 調)に転調しています。
- 上声
- 下声
この部分は、(⑨ 調)から(⑩ 調)に転調しています。
- 上声
- 下声
この部分は、(⑫ 調)です。
- 上声
- 下声
(※音形が多少変化しています。)
この部分は、主調に戻っています。
15小節~16小節でこれまでとは異なる動きが見られます。15小節では が初出し、16小節ではが初出し、16~17小節1拍目にかけて全終止しています。
28小節の2、3拍目で上下声部同時にが連続する形で展開し、28小節~29小節1拍目にかけて終止します。
33小節は、16小節目と同様にが現れる箇所で、33小節~34小節1拍目にかけて全終止しています。いずれも(⑭
- a. クライマックスを作り、大きくフレーズを閉じる表現
- b. クライマックスにならないようにフレーズを閉じる表現
17小節から始まる後半では、ゼクエンツが多用されています。17~19小節は、1~3小節の形(A)を、調を変えて繰り返すような形となっていますが、20小節目以降は変化しています。21小節目~22小節目の音形は、23~24小節目で上下反転され、かつ2度下にズレる形で反復しています。21小節目2拍目の音形を細かく変化させた形の25小節目は、26小節目でほぼ2度下にズレて反復し、27小節目ではさらに2拍目を細分化して反復します。
- ア. 小節ごとに強弱などを変化させて、全体が曲のクライマックスとなるように表現する。
- イ. 著しい強弱の変化はつけず、全体として曲のクライマックスになるように表現する。
- ウ. 小節ごとに変化させつつ、全体としてはクライマックスにならないように 経過的に表現する。
- エ. 小節ごとに変化は一切つけずに、全体として経過的に表現する。
解答
①a.②a.
③下声
④ヘ短調
⑤上声
⑥ヘ短調
⑦ハ短調
⑧上声
⑨ハ短調
⑩ト短調
⑪下声
⑫ハ短調
⑬上声
⑭a.
⑮ウ.
曲頭の第1主題は、(① 調)で、4小節間しっかりリズミカルに表現されます。5小節目から8小節目は、付点のリズムがかげをひそめ、バスの動きがゆるやかになった推移部分です。
8小節目4拍目から始まる第2主題は、(② 調)で書かれています。第1主題より上声のメロディーのリズムが穏やかで音域が高いため、(③
- a. より強く堂々と弾く
- b. より明るくやわらかく弾く
- a. 和音の動きが同一で、音形が細かくなる形で
- b. 和音の動きが変化し、音域が大変広くなる形で
- a. より壮大に堂々と
- b. より細かく軽快に明るく
20~24小節目は(⑥
- a. 確保
- b. コデッタ
- c. 解決部
- a. 上声のメロディーを十分に響かせ下声は控えめに
- b. 31小節目の左手と33小節目の右手が対話するように
- a. 反行して
- b. 並行して
35、36小節目は第2主題の音形をもとに(⑩ 調)であらわれています。この2小節単位の音形が、37・39・41小節からもあらわれます。その際、37小節目から40小節にかけては(⑪ 調)に転調しています。そして41小節では(① 調)の (⑫
- a. ◦Ⅴ
- b. ◦Ⅱ
- c. ◦Ⅳ
35小節目からの(⑬
- a. 陰のある表現
- b. 明るく開放的な表現
- a. 緊張感が増す表現
- b. 少し解放感のある明るい表現
- a. 陰のある表現
- b. 高揚感が非常に高くなる表現
- a. できるだけ対照的に
- b. 両者ともに明確にしっかりと
- a. 第1主題と第2主題の両者がいろいろに展開するストーリー
- b. 第1主題・第2主題とは異なる動きをあらたに繰り広げるストーリー
- a. さらに高揚感を増してクライマックスを迎えるよう
- b. 歩み寄って解決するような
解答
①イ長調②ホ長調
③b.
④a.
⑤b.
⑥b.
⑦ハ長調
⑧b.
⑨a.
⑩イ短調
⑪ニ長調
⑫c.
⑬a.
⑭b.
⑮a.
⑯a.
⑰a.
⑱b.
- ア. ソナタ形式
- イ. ロンド形式
- ウ. 変奏曲形式
- A:17小節目~27小節目1つめの音まで
- B:37小節目~48小節目まで
解答
1.イ2.A: B: ニ短調
- (ア)
- (イ)
- (ウ)
解答
(イ)- a. ブルグミュラー
- b. ショパン
- c. ヨハン・シュトラウス2世
父フリードリヒ・アウグストは書籍出版・販売業を営んでおり、シューマンは幼い時期から数多くの文学書に囲まれる生活環境にありました。母親のヨハンナは音楽を愛好し、その関係で彼は早い時期から音楽に親しみました。 彼は早くから芸術とくに音楽への関心を示し、7歳(1817年)から教会オルガニスト、ヨハン・ゴットフリート・クンチュにピアノを師事するようになります。少年時代のシューマンは作曲とともにとくにピアノの演奏に親しみ、とくにピアノ練習曲で用いていたフンメルやベートーヴェンのほかに、(②
- a. ブラームス
- b. シューベルト
- c. ヴァーグナー
- ③a. ヴィーク
- b.ベートーヴェン
- c. C. Ph. E. バッハ
- a. ソナタ
- b.歌曲
- c. ピアノ協奏曲
他にも、ドレスデンに住んでいた時期には、交響曲第2番「ピアノ協奏曲 イ短調」(作品54)や協奏曲、ピアノ三重奏曲第1番や第2番(作品63、80)などの室内楽作品が書かれました。
1853年、指揮者としての仕事の精神の疲労が頂点に達し、11月に音楽監督を辞任します。このようななかで9月30日に ⑤(
- a. メンデルスゾーン
- b. ブラームス
- c. シェーンベルク
- ピティナ・ピアノ曲事典解説より抜粋。問題作成のため、一部改変した箇所がございます。
「子供のためのアルバム」(作品68)は長女マリーの誕生日の贈り物として用意した数曲に次々と書き加え「クリスマスアルバム」と名づけていたもので、後世までも子供の指導用作品として重要な位置をしめています。「楽しき農夫」はこの曲集中最も有名なものの一つで、原題ではA.「仕事を終えて帰る楽しげな農夫」とつけられていました。ドイツには「Feierabend」という言葉があり、直訳すれば「お祭りの夜」くらいの意味になりますが、多くのドイツ人は毎日仕事が終わると「Feierabend!」と言いながらいそいそと家路についたり居酒屋に出かけたりします。
- ピティナ・ピアノ曲事典解説より抜粋。問題作成のため、一部改変・追記した箇所がございます。
解答
①b②b
③a
④b
⑤b
- 解答省略
- (ア)
- (イ)
- (ウ)
解答
(イ)楽譜冊子の中の①~⑤の和音について、a~eに入る和音記号として正しいものを選択肢A群から選んで答えてください。また、 (☆) に入る調として正しいものをB群から選んで答えてください。
- ただし、和音記号はその部分での調で、すべて基本形で考えるものとします。
- また、非和声音は除外して考えることとします。
①(1小節目) 主調の (a) の和音
①(1小節目) 主調の (a) の和音
②(4小節目2拍目)(☆) 調の (b) の和音
③(12小節目) 主調の (c) の和音
④(13小節目3拍目) 主調の (d) の和音
⑤(18小節目1,2拍目) 主調の (e) の和音
解答
a. アb. ウ
c. シ
d. サ
e. カ
☆ オ
楽譜冊子の中の②、④の和音、および楽譜冊子の中の⑥の部分ではそれぞれどのような色を出した演奏が考えられるか、それぞれ選択肢C群から選んで答えてください。
- ア. 緊張感をもって明るく
- イ. かげるように
- ア. ほのかに暗い彩りを感じて
- イ. 広がりのあるひびきを表して
- ア. 17, 18小節目および21, 22小節目は不安な感じで、19, 20小節目および23, 24小節目はほっと解放される感じで
- イ.17, 18小節目および21, 22小節目は安定した感じで、19, 20小節目および23, 24小節目は不安定に
解答
②イ. かげるように④ア. ほのかに暗い彩りを感じて
⑥ア. 17, 18小節目および21, 22小節目は不安な感じで、19, 20小節目および23, 24小節目はほっと解放される感じで
- (ア)
- (イ)
- (ウ)
解答
アこの曲は半音階で進行していく箇所が多く、揺れ動く調が風らしさを表しています。この曲は主調である(①)調で始まりますが、6小節目左手4拍目にH音が現れ、8小節目から9小節目3拍目にかけて、(②)調のドミナントからトニックへと進行します。そして、9小節目1拍目から10小節目3拍目にかけてバスが半音階的に進行し、10小節目4拍目から11小節目にかけて、(③)完全終止が現れ、曲のひとつの部分が終結したことを感じさせます。
11小節目からは冒頭と同じ音形が奏でられますが、冒頭の5小節目ではF音だったバスが15小節目ではB音となり、6小節目では主調のⅠの和音の基本形に進行していたのが16小節目では第一転回形に進行するなど動きが出ています。16小節目4拍目に置かれている主調の(④)度調の属七の和音の第一転回形がある部分では、今までとは色を変え、17小節目からの(④)度の和音が持続する部分を経て21小節目4拍目のⅤ度の和音→22小節目のⅠ度の和音の終止で落ち着きます。
その後24~26小節目では内声の動きをきれいにひびかせて演奏し、26小節目の和音は(⑤)曲を閉じるとよいでしょう。
- ア. ニ短
- イ. へ長
- ウ. ハ長
- エ. イ短
- ア. ホ長
- イ. イ長
- ウ. イ短
- エ. ロ短
- ア. 主調のイ. 同主調の ウ. 平行調の エ. 属調の
- ア. Ⅰ
- イ. Ⅱ
- ウ. Ⅲ
- エ. Ⅳ
- ア. 24小節目の和音と同じように
- イ. 24小節目の和音と色を変えて
解答
①イ②ウ
③ア
④イ
⑤イ